風鈴紹介

伊賀・風鈴屋敷「風処」は約180個の風鈴を展示しています。
様々な種類、様々な材質がありますが、主な風鈴をご紹介します。
貸切風鈴コンサートに参加した方は自由に見学ができます。

江戸風鈴

篠原風鈴本舗の風鈴です。

もっとも有名な風鈴の一つですのでご存知でしょう。

職人による吹きガラス風鈴で、すべて手作業で作られています。
1,320度の炉から溶けたガラスを取り出し、型を使わず空中でふくらます宙吹き(ちゅうぶき)という方法です。

金魚・朝顔などの夏らしい絵柄を内側から描いているのが特徴。

鳴り口の部分がギザギザのカットになっています。
コップのように滑らかにしてしまうと、滑って音がしないからです。
そこに管が当たると音が微妙に変化して「1/fゆらぎ」の音が発生します。

風鈴コンサートではメインとして使用しています。
12音階の江戸風鈴(直径8cmと4cm。)で、キーはC、F、Am、Em、D、G、平安音階の7種類に対応しています。

風音CDでは単体で江戸風鈴を鳴らすこともありますが、多重録音をおこない、10個や20個を同時に鳴らして、とても幻想的な音が収録されています。

右の写真は篠原風鈴本舗さまに風音オリジナル風鈴を作っていただきました。感謝!

演奏会でメインで利用している江戸風鈴です。3000円前後の風鈴が良い音がします。

南部風鈴

日本の代表的な風鈴です。
夏に日本中の町中で聞こえる風鈴の音のほとんどは南部風鈴といってもいいしょう。

素材は南部鉄器。
南部鉄器は平泉の藤原三代の歴史を持つ岩手が発祥で、なんと約900年に及ぶ歴史があります。

主に岩手県水沢地方で制作されています。
水沢には、その伝統と確かな技術によって磨かれ南部鉄器が伝えられています。

「残したい日本の音百選(環境庁)」に選ばれるほど、透明感のある音色には定評があります。

風鈴コンサートでは3個の南部風鈴を使用。

南部鉄の風鈴の音は高音でハッキリと主張しますので風音CDでもメインで活躍しています。

日本の音100選になっただけあり、大小様々な美しい音色の風鈴が揃っています。

小田原風鈴(御殿風鈴)

風鈴コンサートではレギュラーで使用しています。

材質は砂張。
砂張は銅に錫(すず)を合金したもので色が白く、堅くて、脆いのですが完成品は銀を軽く燻したような 独特な上品な色になります。

鋳造、加工、色上げ等が非常に困難な為に技術者が少なく、極上品と言われています。

黒澤明監督の映画『赤ひげ』で主人公の出会いの場面(重要シーン)で、数十個の小田原風鈴が鳴り有名になりました。
黒澤監督は映画の舞台や小物は一流のものしか使わなかった監督として知られていますが、小田原風鈴の響きを一流と認めた証拠でしょう。

その響きはとても奥深く、余韻が長い。

風鈴演奏家お気に入りの風鈴の一つで数多くの風鈴CD楽曲にも収録されています。

風鈴演奏家がお勧めする世界最高級の音です。

明珍火箸風鈴

兵庫県は姫路城の城下町でつくられています。

姫路市の伝統工芸として有名です。

「明珍」は人の名前です。約800年間つづくお家柄。

明珍家の由来は1150年ごろに近衛天皇に献上した武具を「音響朗々光り明白にして玉の如く類稀なる珍器なり」と賞賛され明珍の姓を賜ったと伝えられます。

平安時代には甲冑師として、江戸時代には火箸で全国に知れ渡りました。
しかし近年、囲炉裏が減ったこともあり火箸の出番も少なくなりました。

そして、52代明珍宗理氏が火箸の風鈴を完成させました。

世界的にも愛好家も多く、富田勲やスティービーワンダーの演奏で利用されたこともあります。

明珍火箸風鈴は深い響きが持続して鳴るので、風鈴コンサートでもメインで使用しています。

そして数々の風鈴CDの楽曲にも入るレギュラーなのです。

名品の来歴 2015年7月21日

スティービー・ワンダーも絶賛した「明珍火箸」の風鈴…鉄からチタン製に職人の挑戦

 チリーン、チリーン-。心地よい澄んだ音色が町家に響く。兵庫県姫路市の「明珍(みょうちん)本舗」の火箸(ひばし)風鈴は、かすかな風でも4本の鉄火箸がふれ合い、涼をもたらす柔らかい音色を生み出す。

 考案者で当主の明珍宗理(むねみち)さん(73)から技術を引き継ぐ三男の敬三さん(39)は、鉄より響きが広がるチタン製火箸風鈴の開発に挑戦している。納得できる品質にまでこぎつけ、来年から本格販売を始める予定だ。「時代にマッチした新製品を」。技術と明珍の名前を残すため、新たな時代を切り開く。

 工房では、宗理さんと敬三さんが黙々と、真っ赤に染まった鉄の棒を鎚(つち)で打ち続ける。15~20センチほどの鉄の棒を加熱してはたたく、その繰り返し。すべてが手作業で、座って鉄を鍛錬(たんれん)する作業は重労働だ。

 「体力的に非常にきつい仕事。これからは息子たちの時代」と宗理さん。18歳でこの世界に入り、一度は廃業の危機に追い込まれた。昭和30年代にストーブが普及し、生活必需品だった火箸の需要が激減したのだ。42年に「冬の火箸を夏に風鈴にしたら売れるのでは」と発想を転換。再び家業を軌道に乗せた。

 宗理さんの火箸風鈴はシンセサイザー奏者の冨田勲さんが演奏で使ったことで世界に注目された。米歌手のスティービー・ワンダーが「近くで響いているのに遠くで響いているように聞こえる東洋の神秘の音色」と語ったことで、さらに評価が高まった。

 敬三さんは大学卒業後、父のもとで修業し、技術を習得。宗理さんも「一人前の職人になった」と認める。

 だが、敬三さんは満足していない。「世の中はものすごいスピードで変化している。新しいものを作り出さないと生き残れない」。

 そこで昨年から取り組み始めたのがチタン製火箸の風鈴だ。宗理さんがかつて、チタン製の仏具お鈴(りん)を製作したのがヒントになった。チタン製お鈴の音は一度たたくと余韻が長く、鉄とは違った音感を楽しめる。

 ところが、チタンは鉄を鍛錬する技術だけでは、満足な音が出ない。どうすれば理想の火箸ができるのか。敬三さんは昨年から鉄火箸製作の合間にチタン開発に挑んだ。

 チタンは材料費が鉄の数倍と高額だが、軽くて硬く、さびないという特長がある。ただ焼いても早く冷めるので、鎚で打つ時間が短い。当然鍛錬する回数も増える。失敗は数百本に及んだ。

 苦しい日々が続いたが火づくりや打ち方などでうまくいく手法が分かった。「やっていける段階になって充実感に満たされ、職人の醍醐味を味わえた」と敬三さんは振り返る。

 さらに、チタン製火箸だけでなく、つり金具のデザインや振り子も次々と新しいものを考案し、火箸職人としての自信が高まっている。

 チタン製火箸風鈴は100年以上も長持ちし、何世代にもわたって受け継がれる。宗理さんは「時代に合った新しいものを生み出す。職人はその繰り返しだ」。敬三さんも職人の系譜の重みを感じている。

 「歴代明珍の伝統があって今の自分がいる。もっと精進したい」(勝田康三)

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 明珍本舗 兵庫県姫路市伊伝居上之町112。平安時代末期から鎧や兜を製作する甲冑師の家系で、武具を献上した近衛天皇から「音響朗々、光り明白にして玉の如く、類希なる珍器なり」の言葉が「明珍」の名前の由来とされる。明治時代に生活必需品だった火箸作りを家業とした。鉄火箸の風鈴は5千~3万5千円(税別)。問い合わせは明珍本舗(電話079・222・5751)。

繊細で美しい音色は何時間でも聴いていられます。

サヌカイト石風鈴

サヌカイト風鈴は風鈴コンサートでもかかせない、石の風鈴です。

サヌカイトとは、讃岐地方(香川周辺)で産出される、めずらしい黒石のこと。

約1300万年前に、瀬戸内地方を襲った大規模な火山活動でできた特異な岩石で、大量に噴出した溶岩が急速に冷却されでできた石です。

つまり、希にみる緻密なガラス質。

この石をたたくと、「カーン」という神秘的で澄んだ美しい音を奏でることから、地元では「カンカン石」と呼ばれ親しまれてきました。

サヌカイトという名は、1891年にドイツの地質学者ヴァインシェンクが、「讃岐の石」という意味で命名したものです。
サヌカイトを使って楽器が作られたのは今から約100年ほど前のこと。
香川県に住む長尾猛住職がサヌカイトを研究・採掘し、仏教音楽の伴奏楽器として石琴(せききん)を創作しました。

サヌカイトの音は大変音域が広く、さまざまな高周波音が含まれています。
ピアノよりも高い音を出すことができ、100万ヘルツまでの高周波を出すことが可能とされているので非常に高い癒し効果があります。

コンサートやCDでも主力で使用している素晴らしい音色です

備長炭風鈴・竹炭風鈴

出張コンサートでは、小さいサイズの備長炭風鈴を、
風鈴ハウス演奏専用ルームでは大きいサイズの備長炭風鈴と音階のついた竹炭風鈴を使用しています。

カラカラカラととても温かい音がして、雪のシーズンにぴったりの響きです。

竹炭風鈴は、3年から5年程度の竹を切り、程度良く乾燥させた後、同じ長さに切りそろえら、窯に入れて焼き上げます。
少しずつ、少しずつ温度を上げてじっくり焼き上げます。その間約10日。
そして光沢のある炭になった竹は、窯から出されます。
加工のできる竹炭はほんの一部です。ほとんどの竹炭はヒビ割れて使いモノにはなりません。
加工の段階でも更に選別されます。切って、削って、研いて・・・。
そしてようやく出来上がる竹炭風鈴。
それは、二つとして同じものが無い、個性をもった竹炭風鈴なのです。

備長炭には、消臭効果・調湿効果・遠赤外線放射など様々な効果が認められていますが、他にもマイナスイオンを発生させることにより副交感神経を刺激し、心身をリラックス させる鎮静効果もあります。
備長炭風鈴をお部屋に吊すとマイナスイオンが発生し、室内に快適な空間をつくります。

風鈴コンサート、そして風鈴CD制作には欠かせない炭の風鈴です。

陶器の風鈴

焼き物は土の素材だからでしょうか、乾いていながらも暖かみのある音が鳴る風鈴が多いです。

赤土、白土、もしくは配合した土を伝統工芸士がロクロで成形して窯で焼き上げ、音色がガラス製と金属製の中間音で癒してくれます。

形は様々で、お椀をメインに、穴が空いたもの、輪っか、葉っぱ、棒を吊るしたものがあります。

海外でも陶器の風鈴はよくつくられています。

前面にあるのは有田焼風鈴。
有田焼とは、現在の有田町やその周辺で生産された磁器の総称。
磁肌の澄みきった白さと華やかな絵付け、優れた耐久力が特徴です。
陶器製風鈴の中でももっとも高音で余韻も続きます。

真鍮の風鈴

高岡風鈴

真鍮は英語でブラスと言い、「ブラスバンド」で用いる金管楽器によく使われる素材で、削りやすく、とっても加工がしやすいため、様々な形の風鈴があり、見た目もとってもお洒落。

写真左の真鍮風鈴は歴史ある鋳物の産地、富山県高岡の職人によって一品一品作られています。

かわいらしくも澄みきった心に沁み入るような音は、この風鈴の素材である真鍮から生み出されていま。

写真左側のスリム型とオニオン型は、外での出張風鈴コンサートで使用。
演奏の際、良いアクセント音になっています。

それ以外は風鈴演奏広間で使用しています。
ちょうど寝っ転がると真上で鳴ります。
それらはとても繊細な響きを感じることでしょう。

ウィンドチャイム

様々な形状、材質のウィンドチャイム

ウィンドチャイムの形状は2パターン。
1つはパイプをサークル状に吊り下げ真ん中の球体が揺れて鳴るもの。
もう1つはバーコードのように棒が横に並ぶもの。

材質が金属や鉄パイプ等ですのでキンキンとした張りのある響きです。
大きいものはコロンコロンとした低音を楽しめます。

とても小さいウィンドチャイムは夏になると日本各地のデパートや百貨店で見ることができます。

出張風鈴コンサートでは、参加者全員で小さいウィンドチャイムを一人ひとつお渡して全員で鳴らす時間があります。とても幻想的な空間になるのです。

ウィンドチャイムは日本以外に海外でも多く制作されています。

海外の風鈴

アジアや西洋でも様々な風鈴が制作されています。

個性的な風鈴がたくさんありますが、音色は大雑把なものが多い印象です。

伊賀・風鈴屋敷「風処」に展示していますのでぜひお聴きください。

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